賀曽利隆の観文研時代[05]

「聖地巡礼」は続く

 宮本常一先生の故郷、周防大島を目指しての「聖地巡礼」は続く。

 第3回目は1999年。スズキDJEBEL250GPSを走らせての「50代編日本一周」の時のことだった。

 東京を出発してから第25日日目の4月26日、無料化された大島大橋を渡って周防大島に入った。「周防大島一周」の途中で宮本家に立ち寄ったのだが、農作業で忙しい時期なのにもかかわらず、宮本光さん、紀子さんのご夫妻はお昼を用意して、ぼくを待ち構えてくれていた。

 光さんは次の日、高知までサツマイモの苗を仕入れに行くとのことで、
「竹原(広島)から今治にフェリーで渡って、そこから寒風山トンネルを通って高知に行きますよ」
 とうれしそうに話してくれた。

 完成したばかりの国道最長トンネルの寒風山トンネルを通るのを楽しみにしていた。

「50代編日本一周」はDJEBEL250GPSでまわった。西鹿児島駅前で

 第4回目は2001年の「島めぐり日本一周」の時のことだ。このときはスズキSMX50でまわった。

「島めぐり日本一周」第66日目の10月20日に周防大島に渡り、「周防大島一周」の途中で宮本家に立ち寄った。

 隣りの平郡島へのフェリーの時間があったので何ともあわただしい訪問になってしまったが、わざわざ家で待ってくれていた光さん、紀子さんに挨拶し、光さんとひとしきり話をして出発しようとした。すると「カソリさん、途中でこれを食べて下さいね」と、紀子さんから宮本農園産のミカンと蒸かしたサツマイモを手渡された。

 神宮寺の宮本常一先生のお墓に手を合わせたあと、周防大島のキラキラ光り輝く海を見ながら、ホカホカのサツマイモを食べるのだった。

「島めぐり日本一周」では154日間で188島をまわったが、島といえば宮本常一先生の一番のフィールド。全45巻の『宮本常一著作集』(未来社)の中でも『日本の離島』は第1集、第2集と2巻を占めている。

「島めぐり日本一周」では、宮本先生の世界に一歩でも足を踏み入れてみたいという強い思いがあって、日本の島々をめぐった。

「島めぐり日本一周」の相棒はSMX50。瀬戸内海の家島(兵庫)で

 第5回目は2008年。スズキの125ccスクーター、アドレスV125Gを走らせての「60代編日本一周」の第10日目、10月10日のことだった。この時は宮本光さん、紀子さん夫妻は出かけられていて残念ながら会えなかったが、周防大島を一周し、神宮寺の宮本常一先生の墓参りをさせてもらった。

「60代編日本一周」の相棒はアドレスV125G。スズキの本社前を出発

 第6回目は2017年。スズキVストローム250を走らせての「70代編日本一周」の第88日目で、周防大島に渡るとすぐに宮本家を訪問。光さんはちょうど「東和きんとき」の収穫を終えられたところだった。ひとしきり光さんと話したが、持ちきれないほどの「東和きんとき」の焼きいもをいただいた。そのあと「宮本常一記念館」を見学し、国道437号の周防大島内の終点、伊保田港まで行った。柳井〜伊保田〜三津浜(松山)のフェリーは再開していた。

「70代編日本一周」はVストローム250。東京・日本橋を出発
「70代編日本一周」の時の宮本光さん、ちょうど「東和きんとき」を収穫して農園から帰ってきた

 2027年には「80代編日本一周」をする予定なので、その時には第7回目の「聖地巡礼」をしよう。第1回目から数えて50年目の「聖地巡礼」になるので、今からおおいに楽しみにしている。